空き地にコンテナを並べて積み重ねただけのレンタル倉庫やトランクルームが、建築基準法はもとより倉庫業法も尊守していない“モグリ”であることは前回の記事で申し上げた通りです。
前回:番外その2:違法なコンテナ倉庫はどうして撤去されないのか?(関係法令等の確認)
「なぜ撤去されないのか?」という本題に入る前に、こういった物件にはどんな人たちが関わっているの家について整理してみましょう。
- 1.オーナー
- コンテナ倉庫やトランクルームの運営をしている人です。
- 2.ディーラー
- オーナーに倉庫となるコンテナを売った人です。
- 3.地主
- コンテナ倉庫を置いてある土地の持ち主です。
- 4.ユーザー
- コンテナ倉庫に荷物を預けている人です。
いずれにせよ、コンテナ倉庫を開業するにあたってオーナーも地主も「利益があげられる」ことを期待したに違いありません。今現在それらのコンテナ倉庫群が、採算がとれているかどうかはここでは問いません。
ここであなたに一つ質問があります。
「日本国の法令に違反するものは、存在してはいけないのでしょうか?」
決して、それらの違法コンテナ倉庫群を弁護するわけでも推奨するわけでもありません。ですが、声高々に危険性を叫んでみたり、国や都道府県や自治体が動かないことを憤ってみたりするだけでは何一つ解決されないのが“身も蓋もない現実”なんです。
誤解を恐れずに言ってしまえば、どんな法律も規則もルールもマナーも、誰かが誰かにとって都合がいいように作った約束事に過ぎないんです。
約束というのは、そんなものがある事を知らなければ守ることはできません。ついでに言えば、『守るだけの価値がある』と思ってもらえなければ守ってもらえないのです。約束したと思い込んでいるだけで、双方の合意が成立していない「単なる押し付け」になっていることだって多いのではありませんか?
端的にいえば、モグリなコンテナ倉庫の、オーナーもディーラーも地主も、倉庫業法や建築基準法について全く知らない可能性があります。
倉庫業法や建築基準法を守らなくてよいのか?というこっとは別問題ですよ?
そういう約束事がある事を知らなかったか、知ってはいても守る気はなかった。そういったことの結果として、それらの違法コンテナ倉庫がそこに存在するんです。
地主やオーナーを捕まえて、「そんなことでいいと思っとるのかぁ!!!」と吊るしあげてみても、今すぐには何の解決にもなりませんよ?
なぜか?という事についてちょっとだけお話ししておきましょう。
撤去や移転をして更地に戻すにも、合法な構造に作り直すにしても、少なくない費用が発生します。オーナーも地主も、仮に撤去・改善命令が出されたとしても、その費用を負担する能力が無い場合があります。
さて、そういった場合は誰が費用の負担をするのでしょうか?
関係する人たちの懐深くまで入り込ませてもらって、「どうする事が最も良い結果を導くのか?」を捻りださないことには、解決の糸口など見つけることは出来ないでしょう。
まだまだ続くんです。